何度言ってもすぐ忘れるんです…

これはある会社の人事・教育担当者さんからの嘆きでした。

今年入ってきた新入社員に「明日までにこれを提出してくれ」と言っても「忘れました」と言われる。

絶対に忘れないでくれ!」と念を押し、「大丈夫です」と返事しても、次の日には忘れている。

もうそれが何度も何度もあるんです。どうしたらいいんですかねぇ。。

というお悩みでした。

さて、あなたならどう対処しますか?

ちょっと考えてみてください。






どんな考え方が出たでしょうか?

もちろんいろんな考え方はありますし、どれが正解で、どれが不正解なのかはわかりません。

で、、私の考え方はコレ↓でした。。

同じ過ちを繰り返す本当の原因

実際、このお悩みはこの方だけではありません。

アイツ忘れ物が多くて困る!という愚痴はいろんな会社の方から聞かれます。

これは若手従業員だけではありません。「うわぁ、また忘れた!」と叫ぶベテラン従業員さんもおられます。

では、なぜ「忘れものばかり」してしまうのでしょうか?(今回は若手従業員向けに話します)

それは、本人の記憶力の問題でもなく、意思力の低さが問題でも無い!と私は考えています。

それは「同じこと(ここでは忘れ物)を繰り返してしまうような”注意のしかた”」をしていませんか?ということです。

たとえば、若手従業員が忘れ物をしたときに「なんで忘れるんだ!」「一体、何度言えばわかるんだ!」と口で注意するだけになっていませんか?

それでは同じことの繰り返しです。しつこくしつこく言えばプレッシャーを与え「もう絶対に忘れないでおこう!」となるかもしれません。

でもそれは一過性に過ぎないかもしれません。なぜなら、現代の若者は本当に注意散漫だからです。集中力が無いのです。

なぜ現代人は”忘れやすい”のか?

それは現代の若者は、昔とは違って多くの情報に晒されて育ってきたことも要因だと言われています。

その問題の1つがスマホですね。スマホ中毒はその典型です。スマホがなかったら生きていけない…そんなことすら言う若者もいます。

たとえばあなたが若手従業員に「もう忘れるなよ!」と注意している間、若手従業員のスマホから”ピローン”と着信が鳴ったとしましょう。

もう若手従業員はスマホに注意が行ってしまい、あなたの言ったことは右から左。スマホのメッセージを見た途端に、あなたの言ったことが、脳内のメモリーから一瞬で消去されているでしょう。

たとえば、電話番号などの数字を記憶したり、一過性のものは短期記憶に格納されると言われています。あなたが注意した言葉も、一過性のものだと判断されれば短期記憶に格納されます

多くの人はコレになっている

短期記憶はバッファーです。バッファーとは一時的に記憶する格納倉庫みたいなものです。

キャパシティも小さく、違う新しい情報が入ってくれば、今まで格納されていた記憶は消去されます。ちなみに短期記憶に格納される時間は20秒程度とされる説もあります。

ですから、現代の情報化社会では短期記憶は一瞬で消去されてしまうのです。スマホのロック画面を解除されれば、あなたの注意した情報が一瞬で短期記憶の格納庫から弾き出されてしまうのです。

だから口頭で注意しただけでは効果が無いと言えるでしょう。

ですから、短期記憶に格納させるのではなく、長期記憶に格納させる必要があるのですが、

かと言って、人間の脳に備わっている長期記憶という、長期間忘れることのない格納庫に、あなたの「もう忘れるなよ!」の言葉を収納してもらうのも時間がかかります。

ちなみに長期記憶に、あなたの伝えたことを相手に格納させるためには、体罰をすれば一瞬です。ですが、これはいろいろと問題が発生してしまうので、それはできません。

罵声を浴びせることも得策ではありません。なぜならそんなことをしたら一瞬で辞めてしまうからです。

昔の人たちは罵声を浴びせられ、殴られ蹴られして仕事を覚えてきましたよね。あれは「体で覚える」という長期記憶に刻み込むための、強引ですが理に叶ったことなのです。

だからと言って罵声したり体罰をして良いとは別問題です。もっと賢い方法があります(それはまた別の機会にお話ししましょう)。

意思や感情に左右されない方法

では、どうすればいいのか?言っても聞かない、罵声も殴る蹴るもできない、、

長期記憶におさめるためには時間もコツも必要。

何をどう伝えれば、相手は二度と忘れることなくやっていけるのでしょうか?

そこで今回は1つやってみて頂きたい解決法をお伝えしたいと思います。

それは何かというと「忘れないような仕組みをつくる」ということです。

別の言い方をすれば、忘れさせないためのプロセスをつくりましょう、ということです。

※この記事では「仕組み=プロセス」と定義しています。

仕組みという視点

たとえば歯が痛くなったとします。すると何をしますか?

まずはとりあえず痛み止めを飲むかもしれません。ほとんどの人は歯科へ行くでしょう。

歯科へ行ったら医師から虫歯と歯周病と言われました。そして治療をしてもらいました。何週間もかけて完治しました。

そして、しばらくしたらまた歯が痛くなりました。痛みがおさまらないので歯科へ行きました。するとまた「虫歯」と言われました。

これはよくあるケースですよね。でもこれは表面化した問題に対して”その場しのぎ”をする対処法に過ぎません。

たとえば毎日2、3回歯磨きをおこなえば虫歯にならなかったかもしれません。寝る前に糖質のある食べ物や飲み物を口にしなかったら歯科なんかに行かなくてよかったかもしれません。

つまり表面化した問題というのは、それが表面化するまでのプロセスに問題があることがほとんどです。

ちなみに、この虫歯のくだりは私のケースです笑。

虫歯を治療しては、また虫歯になり、また治療しては、また虫歯になるを繰り返していました。

でも表面化する問題の原因は、歯磨きを怠っていたということにあります。

そこで、毎日3回歯磨きをするようになり、食べかすが歯に残らないよう、水流ジェットで食べかすを吹き飛ばしています。

すると、今では虫歯も歯周病もなくなりました。

大袈裟な言い方かもしれませんが、根本的な発生原因を「仕組みによって抑えた」ということになります。

因果という言葉あるように、結果には原因があります。今、表面化していることは「過去のプロセスの積み重ね」という考え方です。

では、忘れ物が多い若手従業員に当てはめてみるとどうでしょうか?

忘れてしまうプロセスに問題があるとは思いませんか?

でも先ほど言ったように、意思だけではどうにもなりません。気合いや根性だけではどうにもならないのです。

そこで「忘れないための仕組み」が必要です。

仕組み化させないと原因もわからない

ただ漠然と「忘れ物をするな!」と言っても同じ過ちを繰り返します。なぜなら、同じ過ちを繰り返してしまう原因がわからないからです。

一方で、忘れ物をさせないための仕組み、つまりプロセスをつくれば、どこが欠けていたのかが計測できます

たとえば「明日の朝に○○の書類を持ってきて」と指示したとします。

でも多くはそこで終わります。

しかし、そこで終わらせることなく、絶対に忘れないためのプロセスを構築します。

1
記録

指示した後にすぐその場で手帳に記録させる。

2
確認

寝る前に手帳を確認させる。

3
再確認

次の朝に再度手帳を確認させる。

でもいいでしょうし、

1
記録

指示した後にすぐにスマホカレンダーに記録させる。

2
呼び出し

家に帰った頃にアラームを鳴らさせる。

3
再呼び出し

次の朝に再度アラームを鳴らさせる。

でもいいでょう。

他にも「忙しそうな時に指示をしない」とか「連絡事項は一定の時間帯に決めておく」などもあります。

とてもシンプルなことですが、できていない会社がけっこう見受けられます(そこまで意識と労力を注入できないというのが現状なのですが…)。

しかしこうやって、いちいちプロセスを作って仕組み化しておくと、もし書類を忘れたときに「どのプロセスがいけなかったのか」が把握できやすいですし、どこを直せばいいのか、プロセス自体が問題なのか、計測・改善るようになります。

同じ過ちに対してイライラすることも減ってくるでしょう。

ポイントはシンプルにすることです。ステップが複雑すぎるとプロセス自体が機能しなくなる可能性が高くなりますので。

すべては仕組み化されている

周りを見渡してみると、大なり小なり、仕組み化で生活や世の中が成り立っているんだなぁ、、ということがわかります。それはまるで緻密に作られた機械時計のように…です。

社会が秩序で保たれているのも、私たちが普通に生活できているのも、人と人が繋がり、離れていくことも、

あなたが何かで成功した要因も、今抱えている問題も、すべては何らかのプロセスを経ていることでしょう。

たとえば、私が小さな会社なのにも関わらず、素質のある若手人材を確保し続けていることができているのも、偶然ではなく、そのような若手人材が集まる仕組み化(プロセス)をしているから他なりません。

この辺を話しすると長くなってしまうので割愛させて頂きますが、仕組みという視点に立てると、物事がうまく回るんじゃないかなぁ、と感じるようになると私は感じています(ただ実行に移すのは超難しいですけど…)。

まとめ

忘れ物が多い、それが直る気配が無い。。

それはすべて彼ら(彼女ら)が問題ではありません。そしてあなた方の伝え方が問題でもない、、ということです。

それは「何度伝えても忘れる状況(忘れさせない仕組みになっていない)」ということが問題じゃないか?ということを一度考えていただきたいんですね。

仕組み(プロセス)をつくらないということは「表面化した問題に対してその場しのぎをしているだけ」ということになります。

つまり、いつまで経っても「忘れ物をする」という同じ問題が表面化し続けます。

現代の若者の動向をみていると(現代の若者だけではありませんが…)、意思の力だけで行動させることは正直、難しいです。

意思の力を高めていく教育は必要ですが、意思の力を借りずに実行できる仕組みづくりをした方が、長期的にみて楽チンになる場合が少なくありません。

今回はうまく伝わらなかったかもしれません。ですが、仕組み化という視点を取り入れてみると状況が改善することが多々あります。

是非、若手の人材育成をする際には「仕組みにできないか?」を検討してみてください。

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