「もぅエエって!!」「うっとうしいなアイツ!!」

それは夜の19:00頃、会社の従業員が、現場から帰ってきた時に会社の中で響いた言葉でした。

従業員がアイツ呼ばわりした相手とは??

従業員が「アイツうっとうしいな!」と言っている相手は…というと、

先日より、ブログにちょくちょく登場するルート営業マンのことなのですが、、会社に誰もいない時にやってきてカタログと名刺を置いていく、あの営業マンです。

そして「仕事がもらえない」と私に愚痴をこぼし、「従業員が帰ってくる晩においで!」とアドバイスするやいなや「18時には退社しないといけないので…」とナメたことを言ってくる20代の卸問屋の営業マンです。

私は日中事務所にいることが多々あるので、その営業マンとよく顔を合わせます。

そして「職人(従業員)がいるときに来ないと、いつまで経っても仕事もらえないよ。晩に営業行けるように考えたら?」と会うたびに助言しているのですが、、

それでも懲りずに日中、会社に来てはカタログと名刺を置いて帰るのです。

従業員の机の上はカタログとその営業マンの名刺だらけになります。興味の無いカタログと名刺を毎回置かれると、さすがに従業員もうっとうしくなってきます。

そしてついに出た言葉が「もぅエエって!!」「うっとうしいなアイツ!!」でした。

なぜ、助言を受け入れないのか?

当社は工事会社の規模からすれば、市内トップクラスです。

今は他の問屋会社に発注することが多いのですが、その会社にかなり不満がある。「できれば違う会社に注文したい」という人もいる。ならば今、営業をかければ受注をかっさらうチャンスがある。

私は具体的にそれを彼にコッソリ助言したのにもかかわらず、従業員が帰ってくる時間帯に顔を出さない。

「一体何故なのか?」私は最近そればかりが気になっていました。確実に売上upを狙えるのにもかかわらず…です。

たとえば、

  1. 彼は仕事に対するモチベーションが低いのか?
  2. 私の発言が重要だと感じていない(つまり私は意見を仰ぐほどの人物と見なされていない)のか?
  3. それとも、ただのバカなのか?

そんなことも考えながら、これらの問題を解消するにはどうすればいいのか?を考えていたわけです。

コレは彼の問題だけではない

そして、会社に誰もいない日中にやってくる彼と会うたびに会話を続けました。そして段々と気づいてきたわけです。

コレは彼だけの問題で片付くものではなさそうだ、と。

彼の特徴として、彼は融通がききません。応用力がないのです。

これは彼の中の問題なのかもしれませんが、逆に言えば会社のシステムに従順です。

18時には退社しないといけない。つまり営業できる時間帯は日中のみ。日中に数ある営業先で営業をしようと思えばカタログと名刺を置かざるを得ない。

つまり、彼は会社のシステムにしっかりと従い、会社の仕組みの中で動いているだけなのです。

一般論ですが、これは現代の若者の特徴ですね。現代の若者は会社の仕組みから飛び出すことはしません。

ということは「営業は晩行け!」と会社のシステム自体を変えれば彼の行動も変わることになるはずです。

彼の「融通の弱さ」は大きな弱点でもありますが、生かし方を変えれば「強み」にもなり得るはずなのです。

人の弱点を克服するだけでは改善しない

私は「彼の融通の無さ」ばかりにフォーカスし、それを改善しようとしていました。

しかしそれは彼の弱点でもあり、その弱点はなかなか直すことはできません。

ですが視点を変えれば、「会社のシステムに忠実」という長所も見つけることができました。

「18時には退社しなければいけない」という会社の制約の中で、彼は彼なりに考えていたことが今回の原因でもあったわけです。

我々、人を教育、指導する立場にあるとき、どうしても相手の弱点に目が行ってしまいがちです。

そして、その弱点を何とか克服しようと試みます。「オマエのココが悪い。ココを直せ!」と。

しかし、弱点は弱点であって克服できないから弱点でもあるのです。

自分の短所を指摘され続け、克服するということはとても労力が必要としますし、ストレスも溜まります。

克服できなければモチベーションも下がりますし、仕事が嫌になり、人間関係もギクシャクしてしまうかもしれません。

それよりも、相手の長所に目を向け、フォーカスし、それを活かしてあげる方が、相手もイキイキと仕事をするのではないでしょうか。

だって、長所が生かせるということは、自分の得意分野を活かすことであり、本人にとってもやりがいを感じられるからです。嫌なこと不得意なことをやらされるより、得意なことをしている方が夢中になり時間も忘れてしまうものです。

会社として、指導者として出来ることは?

相手の弱みにフォーカスするのではなく、強みに目を向けること。そうすれば従業員の離職率も下がり、モチベーションも上がり、生産性もアップするのではないでしょうか?

  • 相手の特徴やクセは何なのか?
  • 何に夢中になり、何にすぐ飽きてしまうのか?
  • 相手のパフォーマンスを上げるために、会社のシステムはどうすればいいのか?

それらを意識し、お互いがイライラせず、イキイキと前向きに仕事をこなし、生産性がアップするような人材育成、そして会社の仕組みづくりを考えて欲しいと思います。

 

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