「ウチはハローワークに求人出してたら応募あるけど?」

これは久しぶりに再会した、製造業の会社の役員をしている友人から出た言葉でした。

「えっ!?なんで??」

私は耳を疑いました。

こんなに人材確保に苦労している会社がたくさんあるというのに、なぜ友人の会社には応募がそこそこ集まるのか?

その友人が役員をしている製造業は、給料も安く、仕事も地味、コレといった手に職がつくような技術もありません。

オマケに吹けば飛ぶような小さな会社なのにもかかわらず…です(友人がこのブログを見ていないことを祈ります)

しかも応募してくるのは「20歳前後!?」と言うじゃありませんか!!

求人倍率は上昇中

求人倍率、1.55倍に上昇。

今年は求人倍率の上昇が目立ちますよね。先日のYahoo!ニュースによると

”1974年1月以来、43年9カ月ぶりの高水準。景気のゆるやかな回復を背景に、製造業を中心に幅広い産業で求人が増えたことが寄与した。”

と、求人倍率はバブル期を超えており、日々過熱感を増しています。

そんな人材獲得の戦国時代に突入している状況の中、

なぜ彼の会社には若者の応募が集まってしまうのか?

建前と本音

もちろん履歴書に買いてある応募動機というのは建前。

なぜその会社に応募したのか本当の動機が知りたい!

で、友人に聞いても

「本当の動機?わからんなぁ。とりあえず応募が来たら、よっぽどの人じゃない限り採用しているからな。」

という返事。

この案件に、私はとても興味が沸き、最近その会社に入社してきた若者にリサーチすることにしました。

本当の動機とは

しかし結論は至ってシンプルでした。

彼らの真の応募動機。それは、

  • ラクそうだから、
  • 休みが多いから、
  • 残業が無いから、
  • 通勤が便利だ(家から近い)から

の理由でした。

要望にマッチングしていた

若手を中心とした人材採用活動をしていると、

  • ラクな仕事がいい、
  • 残業は嫌だ、
  • 夜勤は絶対にしたくない、
  • 社内の従業員とコミュニケーションしたくない、
  • 責任のある仕事はしたくないから出世は望まないetc

そんな要望が目につきます。

友人の会社は、そんな若者の欲求にマッチした求人を出していたということになります。

しかし、疑問に感じませんか?

「そんな人材、戦力になるんか??」と。

そこで友人に尋ねると返ってきた答えはコレでした。

私とは180度違う採用思考

「雇っても使えへんヤツばっかりやで。」

「仕事を教えてもボケ~っしてるし、怒れば次の日は来なくなるし。」

「でも、やらせる仕事は誰にもできるような簡単な仕事。」

「そこそこ生産性はあるからそんでエエねん。割り切ってるわ。」と。

どうやら彼は、

「人材を育てるというよりも道具の1つ」

という、製造業らしい?考え方を持っているようです。

人材ではなく道具としての割り切り方

人材を育てるという意識を捨て、マニュアル通りに仕事をさせる。

求職者の応募動機に建前と本音があるように、会社側にも建前と本音を分けていく。

残業をしない、休日出勤をさせない、難しい業務をさせないという約束だけは守り、

昇給もしなければ賞与も出さないという現実。

いずれお金が欲しくなればその人材は会社を去っていくし、また新たな人材を雇うのみ。

下手に技術を教えて独立でもされたらかなわん。

そんな割り切った人材採用もあるということです。

向上心のない若者の要望を狙っていく。そんなやり方もあるのです。

その採用法はすべてに当てはまるか?

しかしそういった人材が、

「将来的に会社の戦力や経営者の右腕になるのか…」と言えば、、

答えはNOです。

また、人と接する仕事、技術が必要な仕事、クリエイティブな仕事は、常に自分を研磨しない、向上心の無い人ではやっていけません。

なぜならそういった仕事は単純作業ではないからです。
(というより、単純作業の仕事を見つける方が難しいです。単純な仕事を思われがちな接客業だって、お客様を「もてなす」スキルが必要ですしね。)

マニュアル通りに仕事をするような応用の効かないロボット型の人材では、そういった仕事やミッションを果たすことはできないのです。

ある会社のロボット営業マン

私が人事をやっている会社に、定期的にルート営業にやってくる若者がいます。

彼は建設資材を販売している会社の営業マンなんですが、その若者、会社に誰もいない時にやってくるんです。

「誰もいない時に営業しに来ても何も仕事はもらえないだろう」と、彼に気遣ってアドバイスしてあげました。

「職人が帰ってくるのは18時は過ぎるから、その時間以降においで」と。

そしたらその若者、なんて返事したと思います?

「18時はもう退社時間なので…」

「は??」

開いた口が塞がらないほどの衝撃な返事を受けたのです。

じゃあ一体いつ?彼は仕事を受注するのでしょうか?

カタログと名刺を置いて行ったら電話が鳴るとでもおもっているのでしょうか?

そんな人材、ハッキリ言って要らないでしょう?

あなたの会社の人材戦略は?

あなたの会社はどのような人材採用戦略を練っていますか?

私の友人みたいに割り切って人材を採用していくか、

私のように向上心のある若者を狙い、将来的に会社の戦力となる人材を育成していくか…。

それとも他に戦略があるのか?

ぶっちゃけ、人材採用において戦略と戦術を練り、それを実践し改善していけば、「人材をまったく確保できない」ということは無くなっていきます。何かしらの実りが出てくるのです。

一番ダメなのは、どっちもつかずで何となく中途半端の採用活動をするということです。