こう思っていませんか?

意中の彼女と熱い夜を過ごしたいために、高級なレストランで食事に誘い、高価なプレゼントをする。

しかし彼女は焦らすばかり。何度も誘っては肝心なところでヒラリとかわされる。

下心が旺盛な男はこう考えだす。

「こんなにお金を払っているのなら、ソープにヘルス、何回行けただろうか…」

「あぁ、これはもったいない!今夜中には決めるぞ!」と。

しかし彼女の心は開かない。イライラする男。

そしてついに爆発!

「いったいいくら使っていると思っているんだよぉ!」

ついポロッと彼女にそう言ってしまった…。

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2つのスイッチ

アメリカの行動心理学者であるダン・アリエリー教授は、人が行動を起こす起因に、

「社会規範」「市場規範」という2つのスイッチがあると言っています。

簡単に言うと、

「社会規範」とは相互扶助、心の繋がり。

「市場規範」とは現金主義。お金で動くか動かないかです。

社会規範はプライスレス。市場規範はハウマッチ。ということ。

例えば、街の清掃をボランティアでするか、お金をもらってするか、ということ。

男女の例で言えば、お金で買えない「愛」と、お金で買う「愛」、と言ったところでしょうか。

先ほどの男性は、意中の彼女をサービス嬢との行為にふけるお金で比べてしまい、

ついついお金のことを口にしてしまったがために、彼女の気持ちは一瞬にして冷めてしまったのです。

あともう少しで男性に身も心もを許したかもしれないのに…。

そして彼女の心は、社会規範から市場規範にスイッチされてしまったのです。

つまり「無償の愛」から「愛をお金の価値で判断する卑劣な男」へと見方が変わりました。

そうなると今まで培ってきた心の繋がりは一瞬にしてなくなってしまいます。

愛をお金で買おうとすると、お金でしか愛を繋ぎ止められなくなる。

そして見方がいったん「市場規範モード」になると、心の中で「社会規範」は存在しなくなるのだそう。

さらに恐ろしいことに、心の繋がり(社会規範)を修復させるのはほぼ不可能だと教授は言っています。

あなたの会社はどっち?

さて、この「社会規範」と「市場規範」、

あなたの会社では従業員に対してどちらの規範を当てはめているでしょうか?

先ほどの例では男性は、お金のことをつい口にしてしまいました。

しかし実際のところ、それを口に出さなくても、思っているだけで相手にそれが伝わるものです。

お金というモノの見方で人の価値を測る。そうすると相手もお金でしか動かなくなります。

給料を支払ってるんだから言うことを聞け!従業員をコキ使ってやろう!

と思っていませんか?

俺が上司なんだから24時間電話に出ろ!残業代を曖昧にしてやろう!

そう思っていませんか?

口に出さなくても心の中で思っているだけで相手に伝わるのです。

常軌を脱した束縛や統制、罰則。それもダメです。

それをすればするほど従業員は反発し、生産性は低下します。

それをすることによって従業員は社会規範から市場規範へと心を切り替えてしまいます。

つまり自分の仕事は給与ありき。自分の働きと給料を比べてしまうのです。

「だれがこんな会社に貢献するものか!」「私の働きでこんな給料では見合わない!」

そう勝手に決めつけてしまうのです。

こういった人間の行動はデータにも表れているようです。

「結局のところ、人をやる気にさせる方法としては、お金に頼るのがたいていもっとも高くつく。」

「社会規範は安あがりだけでなく、より効果的な場合が多い。」

そう、教授は言いきっています。

つまり、「会社のために」「使命のために」という思いが強ければ強いほど、給与と仕事を切り離し、給与以上の働きをしてくれる可能性が高いということです。

 

世の中は利己主義、現実主義になってきています。

昔みたいに人と人が支え合う、心と心が通じ合うようなコミュニケーションが薄れています。

従業員が市場規範に近づかないようにしないといけませんね。

 

最近、警察官や消防士、自衛隊員の不祥事をよく耳にしませんか?

それは警察官や消防士、自衛隊などは、給与以上に自分の身を危険にさらして活動をしてくれてるのではなく(社会規範)、

「命よりお金」「人のことより自分が大事」という現実主義になっている(市場規範)表れかもしれませんね。

P.S.
賞与を支給する時は「不景気なのに出してやっている」という空気を出すと、従業員は市場規範になりやすいので注意された方がよろしいです。

この内容に興味のある方は是非著者の本を読んでみてください → http://amzn.to/2fOa8ZU